| モルドバワインの地域区分について
モルドバワイン造りの背景には数千年もの歴史がありますが、葡萄栽培に欠かせない大きな要因が、各生産地の特質ある土壌と大陸性気候です。この二つの要因の影響を元に、葡萄品種に適した作付けがおこなわれています。そこでEUモデルに基づいて作られた、保護された地理的表示のシステムーIGP(ルーマニア語表記: Indicații Geografice Protejate)/ PGI(英語表記: Protected Geographical Indications)により、異なる土壌・地形・気候を元に、歴史的なワイン生産地としての表示を中部(コドル)、南東部(シュテファン・ヴォダ)、南部(ヴァルル・ルイ・トラヤン)、モルドバ全域(ディヴィン)の四つの地域別に区分しています。
PGI Codru
コードル地域 - モルドバ中央部
海抜:150 - 400 m
平均気温:9 - 9.5 ℃
降水量:450 - 550 mm / 年
晴天日:310 - 320 日 / 年
首都キシナウがある中央部に位置し、葡萄畑の面積は国内最大(約61,200 ha)で、白葡萄が約70%を占めています。オークやリンデン、ブナ、カエデ、シナノキ等の森が地域の25%を占め、気候に影響を与えています。白ワインのほか高級赤ワインやスパークリングワインの栽培品種にも適した地域です。平均気温は9〜9.5℃、降水量は450〜550mm/年。谷や渓谷や小さな川が多く、通気性の良い軽い土壌です。
PGI Stefan Voda
ステファン・ヴォダ地域 - モルドバ南東部
海抜:120 - 190 m
平均気温:9 - 10 ℃
降水量:450 - 550 mm / 年
晴天日:310 - 320 日 / 年
モルドバ南東の低地にあり、ニストル川沿いにある平野や丘陵地帯が含まれる地域です。1年を通し降水量が少なく、穏やかで日当たりの良い気候です。適度な大陸性気質で、黒海からの影響もやや強いです。赤も白も、香りや果実味の豊かなワインが造られるのが特徴です。チェルノゼムとポドゾルという土壌が主となっています。
PGI Value lui Traian
ヴァルル・ルイ・トラヤン地域 - モルドバ南西部
海抜:5 – 311 m
平均気温:9.5 - 10 ℃
降水量:450 - 550 mm / 年
晴天日:310 - 320 日 / 年
ローマ帝国時代に建てられた2つのTrajan's Walls(トラヤヌスの城壁)の間にある地域。多くの谷や川、森や草原地帯が広がり、黒海とティゲチ丘陵の森林、またプルート川の影響を受けている温暖で雨の少ない気候です。赤ワインの生産に特化した地域であり、リキュールワインでも知られています。主な土壌は、チェルノゼムとポドゾルです。
海抜:150 - 250 m
平均気温:9 - 10 ℃
降水量:北部 550 – 700 mm / 年
南部 400 – 450 mm / 年
晴天日:300 - 320 日 / 年