豊かな自然と肥沃な土壌
モルドバの特徴はなんといっても、その恵まれた自然です。たくさんの川と湖、そして森があり、なだらかな丘陵地帯が続くとても自然に恵まれた国です。高い山はなく最も高い所でも海抜430mしかありません。土壌と気候に恵まれた農業国で、色々な穀物や果物が収穫され野生動物も多く生息しています。モルドバは資源に乏しい国ですが、 土壌はかなり肥沃で、地表には柔らかくて若い石灰岩や砂、砂利、 石膏などの堆積岩が見られます。モルドバワイン造りの背景には何千年もの歴史がありますが、葡萄栽培に欠かせない大きな要因が、各生産地の特質ある土壌と大陸性の気候です。この二つの要因の影響を受けることで葡萄品種に適した作付けがおこなわれています。
そこで、異なる土壌・地形・気候を元に生産地を北部(ディヴィン)・中央部(コドル)・南東部(シュテファン・ヴォダ)・南部(ヴァルル・ルイ・トラヤン)の四つの地域別に区分しています。
| モルドバ北部(Divin)地域の土壌
Divin(ディヴィン)地域の葡萄作付面積は17,597ヘクタール、海抜200~250m、モルドバ国内最小の産地です。
土壌は灰色で、ポゾール性チェルノーゼム(黒土の地層に粘土・砂・石膏が混じる)が白亜石灰の岩盤上に広がっています。この地域ではディヴィン・ワインスピリッツ(ブランデー)を造る為にアリゴテ、ルミニッア、リトンなど多くの白品種の葡萄が栽培されています。
| モルドバ中央部(Codru)地域の土壌
Codru(コドル)地域の葡萄作付面積は61,200ヘクタール、海抜100~150m。オークや菩提樹、ブナ、楓、シナノ木の森林が地域の25%を占めています。丘や谷、川も多く点在しているため変化の多い地形で、樹木の生い茂る丘陵が広がっており、この丘陵が大陸性気候独特の冬の霜と真夏の日照りから葡萄畑を守る役割をしています。土壌は灰色の森林土壌、ポゾール性チェルノーゼム(黒土の地層に粘土・砂・石膏が混じる)で、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、フェテャスカ・アルバ、フェテャスカ・レガーラ、ヴィオリカなど上質の白葡萄が栽培されています。
| モルドバ南東部(Stefan Voda)地域の土壌
Stefan Voda(シュテファン・ヴォダ)地域の葡萄作付面積は10,000ヘクタール、海抜80~120m。穏やかな大陸性気候は近くにある黒海の影響によるものです。土壌は炭酸化物を含むチェルノーゼム(黒土の地層に粘土・砂・石灰の砂利を含む通気性が良い)。この地帯はドニエステル川西岸斜面に広がっており、黒海の風に育まれた土着品種のララ・ニャグラ、フェテャスカ・ニャグラ、ピノ・ノワールなどの上質な赤ワイン用の葡萄栽培に適した地域です。
| モルドバ南部(Valul lui Traian)地域の土壌
Valul lui Traian(ヴァルル・ルイ・トラヤン)地域の葡萄作付面積は43,203ヘクタール、海抜280~300m、夏は温暖で乾燥しており、冬は短く穏やかです。葡萄畑の殆どがニストル川とプルト川の渓谷の斜面に位置しています。モルドバ国内のどこよりも乾燥していて、土壌は溶脱質の炭酸化物を含むチェルノーゼム(浅い黒土層に粘土・砂を多く含み非常に通気性の良い)の為、葡萄の実に糖分がより豊富に蓄積され易い地質です。この地域では村ごとにタラクリア、チュウマイ、コムラト、チャドウル・ルンガ、バウルチ、トマイ、チミシリアなどのワイナリーが古くから点在しています。フル・ボデイの赤ワインを主に、赤のデザートワイン用にカベルネ・ソーヴィニヨンやフェテャスカ・ニャグラ、シラーや、熟成可能なシャルドネ、トラミネールの他にモルドバ土着品種の白葡萄フェテャスカ・アルバやフェテャスカ・レガーラなどが栽培されています。